そもそも、なぜチームコーチングなのか

私はチームコーチングを発見!したのです。組織の活性化の秘訣を手に入れたと思いました。
私は1990年からアメリカ人オーナーのトレーニングとコンサルティングの会社で研修トレーナーの仕事をしてきました。特定の企業向けではなく、公開募集の研修を担当しましたが、かなり厳しく効果的なトレーニングをリードしてきました。ほとんどの参加者の目覚ましい変化と成長には目を見張るものがありました。
公開セミナーの参加者の皆さんはそこで初めてお互いに出会ったという人々です。その人々が限られた時間内でチームになっていく姿には感動したものです。他のメンバーのために必死で協力したり、励ましたりするのです。人々がチームになって、お互いを支援し、想定を超える価値を手にしていく様子を目の当たりにして、美しいと感じました。

私が独立して最初の会社をつくったとき、私は独自の人材育成のサービスを開発したいとあれこれ試行錯誤をしていました。その頃、1年間にわたって、ある有名なコンサルタント会社のスクールに通っていました。コンサルタントとしての知識と技能を磨くためです。
コンサルタントはクライアント企業を調査して、分析して、判断して、仮説を立て、さらに考察を重ね、そうしてクライアントに問題解決の処方箋を提案するのです。ですから、コンサルタントはチームで仕事をしないと、視点が偏ってしまう危険性があり、優れた分析と処方箋を提案することは難しいなという感想を持ちました。

そうして私は思ったのです。クライアント企業で仕事をしているわけではないコンサルタントよりも、そこの現場で長年仕事をしてきている社員の方が知っていることは多いはずだ。現場に答えがあるのではないか。自社の商品やサービスに誇りを持ち、愛社精神をもって仕事をしている幹部社員、現場の社員たちの知恵を集めて、仮説を立てて、組織の方向性や問題解決について合意を作り出したら、その合意形成に加わった人々は気持ちを一つにできるし、同時にリーダー育成にもなる。これは、一石二鳥だと。

1995年、ふたりの若き社長が私のやり方に興味をもってそれぞれの会社に導入してくれました。
人々は見たいように見て、聞きたいように聞いて、感じたいように感じて、固定観念の色眼鏡を通して世界を解釈し、自己正当化をしつつ、判断をするものです。誰でも自分の見方は正しいと思い込んでいるのです。いつものメンバーが集まって会議をしても、何も変わりません。
ですから、ただ集まって議論をしても行先も決まらないまま、時間が無駄に過ぎていくのが落ちです。航行に羅針盤が必要なように、会議にも羅針盤が必要です。
そこで、その組織の現状を多角的に把握し、そこに潜んでいる真の問題を探求し、根本的な解決を合意するプロセスを設計して、会議に臨みました。

会議に集められたメンバーは、はじめは警戒心を抱いて、発言しなかったり、様子を見ていたりという反応でしたが、その場が安全であると分かってくるにつれて、かなり本質的な情報を出してくるようになっていきました。もちろん、意見にはバイアスがかかっていることが多いので、肯定的な情報、否定的な情報、どちらにしても鵜呑みには出来ません。そこで本当は何が起きているのかを正直に話し合い、皆で探求するのです。
このプロセスはメンバー同士の関係を変えました。会社を良くしていくための同志になっていきました。明らかに社長に対して信頼を置かず、反抗的な態度を取っていたようなメンバーが逆に生き生きとして、自発的に変革に取り組みようになったのです。彼らはチームとなり、自分たちの力で合意に至った方針に基づき、地道な活動を始めました。

最初の会議が終わったときに、疑心暗鬼だったメンバーたちが口々に、「やって良かった。面白かった。会社はこういう風に動かしていなかいといけないと分かった」と言ってくれたのです。以前と比べるとお互いの信頼感が爆発的に増していたのです。皆が感動していました。予想以上に、リーダー育成、目覚ましい成果の創造、組織の一体化が起きました。これが、それから数年後に「チームコーチング」と名づけることになる最初の成功体験でした。

この手法はどんな業種でも、どのような組織であっても、どんなテーマを抱えている職場であっても、うまくいく画期的なプロセスだと私は確信したのです。

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